人工の雷 in アクリル板

雷の写真を撮ろうと試みること数回、いまだに達成できてない doublet です。こんにちは。
タイミングが合わず、カメラを向ける方向もわからないので雷の撮影は難しいのです*1
写真がないとイメージがつかみづらいでしょうから、今日は人工の雷について紹介します。
原理はこの間書きましたが、電子流を加速して(数メガ電子ボルトという大きい運動エネルギーで)プラスチック板に叩き込み、これをアーシングして放電させるというものです。


用意するものは PMMA板(いわゆるアクリル板)、電子線照射施設、アースの付いた千枚通しです。
どちらの家庭にもありますよね。


まずはアクリル板です。厚さ1cmは欲しいです。
幅は適当です。

けっこうアクリル板が高いんですよね。主婦の敵。


これに電子線を照射します。当てる時にチェレンコフ光が見えるので注意してください。

やりすぎると勝手に放電して絶縁破壊されちゃうので、「さらっと海苔を焙る」感じで当てるのがコツです。
加速電圧はアクリル板の厚みに合わせてください。
突き抜けちゃ意味ないです。


さて、こいつをさっさか取り出します。
のらくらしてると少しずつ放電しちゃうので素早く。
40秒で仕度しな。


演出効果を高めるために電気を消しましょう。
PMMA の板のちょうど中央に、アースした千枚通しを乗せ、ハンマーで叩きます。
乙女鉱山の新鮮な花崗岩の露頭を叩くつもりで、ガツンと行きましょう!


せーの!!

「バチン」と音がして、中にたまった電子が一気にアースに流れます。
この際に絶縁破壊が起こり、放電発光します。
プチ雷です。
この模様がフラクタルで美的なんですよ。

雷のプラスチック封入標本です。
気に入った人は持って帰っていいですよ。


で、出来上がりはこちらです。

左は照射前、右が照射後です。
照射により色が黄ばむのは電子線のエネルギーで PMMA の共有結合の切断が起こり、ラジカルが色中心となるからでしょう。


「雷とからっ風、義理人情」の県からお伝えしました。

*1:まじめにやるなら、カメラに広角を付けて ND50 を二枚ほど重ねて、あてずっぽうに20秒ぐらい露出するしかないでしょうね