ヨウ素

写真はヨウ素。おなじみといえばおなじみですし、見たことのない人もいるでしょうか。
常温で固体ですが、臭い紫色の蒸気をゆっくり出し、昇華性が高いです。
簡単に昇華により精製できます。
ゆっくり昇華するとコロッとしたかわいい結晶になるのですが、蒸気分圧を高くしてすばやく昇華すると、このような西洋の剣のようなカッコいい結晶になります。
車田正美風魔の小次郎*1」に、こんな聖剣がありませんでしたっけ?


iodine crystals 1


ちなみに斜方晶系、空間群 Cmca ですから、対称性から刃に表と裏があります。
逆側はこんなのです。
iodine crystals 2


どっちが表でどっちが裏かは、分子の配列の定義によるんですが、片方が鏡のようにつややかで、もう片方は峰があります。
上の写真の左の大きな結晶2本は平行連晶です。
軸関係が同じで、途中で二つに分かれてしまったものです。
気相成長の平行連晶は、ギリギリのスペースを挟んで互いに譲り合いの精神を持つことが多いようです。
典型的なのが雪の結晶です。


ヨウ素は日本を代表する地下資源で、輸出までしています。
古い古い化石の海水が千葉の井戸からいっぱい出てきて、その中にかなりの濃度で含まれているんだそうです。
日本は海に囲まれてますので、そのぐらいはいいでしょう。
ちなみに塩は大量に輸入してます。


(撮影メモ)Macro Nikkor 65mm F4.5/D80。三段絞っています。ライティングがめちゃくちゃ難しく、輝度差が大きく撮影難航。昇華管が写りこんでしまうので撮りなおします。やっぱり成長時の写真を撮るのなら、マルチコート光学平面で昇華管と再結晶容器を作らないとダメみたいです。

*1:それにしてもコマの大きなマンガでした。