クリーニングは、化学のセンスがいります

昨日購入した戦利品3は、水晶の上にシリカ質の被覆を背負ってるんで、クリーニングしてます。
これ、実はけっこう難しくて、難儀します。
両方とも同じシリカで、被覆の多結晶のシリカの粒界にさりげなくダメージを与え、基質の水晶のほうには一切ダメージを加えないようにする必要があるのですが、これがなかなか難しいんです。
以前、やはりツインでこれについてずいぶん試行錯誤を重ね、ほぼ完成したセットパターンがあるので、これをやっています。
アブナイクスリを4種使って二液の洗浄液を作り、これに交互に漬け、液から引き上げるたびにドロマイト粉末を含む研磨剤で表面の皮を剥いていきます。
やりすぎると水晶が曇ってしまうという罠。
化学の素人にはお勧めできない操作です。


化石の人は、有機酸、無機酸をうまく使って、炭酸カルシウムの母岩から、やはり炭酸カルシウムの化石をうまく浮き立たせる離れ業をやってのけます。
蟻酸、蓚酸、酢酸のような、カルボン酸弱酸を適当な濃度に希釈して、これで長時間かけて溶かすんですが、アレにはびっくりしますね。


だぶれっとマイブレンドA液で水晶を処理すると、こんな感じ。
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フヨフヨ白い粉が出ているのは、剥がれてきたシリカです。
これが剥がれた後に液に溶解するようじゃ、液が強すぎ、水晶の表面が濁ります。


だぶれっとマイブレンドB液で処理し、ゴシゴシこすると、こうなります。
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水晶のエッジから、ペリペリと皮を剥ぐように表面シリカが剥がれてきているのがおわかりいただけるでしょうか。
ここをルーペでよく見て、基質の水晶の結晶面の平坦度がいいのか、液の濃度が適当か判定します。
もとからザラザラの水晶は、いくら洗ってもきれいになりません。


これを繰り返して、水晶の結晶面を腐食しないように、表面に乗ったシリカを落とすのです。
こいつは頑固なので、1週間ぐらいかかるかもしれません。


逆サイドはだいぶ落ちたんですけどね。
P6070190
かなりはっきりした、三連双晶だというのがおわかりいただけるかと。


戦利品1は、有機溶媒で硫黄を溶かし、ほとんどの硫黄を除去しましたが、これといっていい結晶が出たわけではありませんでした。
「しまった、くっつけたままにすればよかった!」と、ちょっと後悔しています。
クリーニングなんてそんなものですよ。