悪魔の化学辞典

分析(analysis, 名):目に見えないものを、見てきたかのように喋るために必要となる一種のおまじない。様々な手法があるが、すべてに致命的な欠陥が仕込まれており、完全なる方法は未だかつて発明されていない。ある筋からは、万能の分析法が既に開発され…

論文

化学者が食費を稼ぐために執筆する駄文の一。化学者の多くはその内容でなく、数を評価の対象にする。最も定量的な評価法は、その化学者が現在までに執筆した論文の重量を秤量することである。駄文の程度を記述するインパクトファクターなる指数があるが、こ…

フラスコ

化学者が飯を食う道具の一。これをまったく用いることなく食事を済ませる化学者もいるが、これはいわば白米をフォークで食うか箸で食うかの違いのようなものであり、フラスコに愛着を持っていないからといってその人の食文化を問うことはできない。透明な無…

塩素

極めて美麗な緑色を呈する美味な気体。これを吸引することにより、人間は神に近づくことが可能となった。このものの生理活性を見出したある学者が、第一次世界大戦の際に多くの人々にこの悦楽を体験させた。日常生活においても微量に水道水に混入されており…

化学

唯物論者によって信仰される宗教の一。信者は化学者と呼ばれる。紙と鉛筆だけでは衣食住の確保に不安がある場合、この宗教によってその原罪を免責される。経典は宗派によって異なり、バイルシュタインと呼ばれる全数十巻にも及ぶ取るに足らない書物群のこと…