音楽
知人と話して、音楽で食べていくことが困難であるということを知る。
うすうすは聞いていたのだが、それほどとは知らなかった。
音を奏でる能力は技能のひとつだ。
長い長い反復練習の上に、技術や表現力が詰まれる。
毎日10時間も弾いているような人は、音が研ぎ澄まされてくる。
それを20年以上しているのだろう。
それでも食っていけないのか。
周りに不安定な職種とカテゴライズされてしまうのがつらいと言っていた。
がんばれーー。
芸の道は厳しい。
誰にでも間口が開いているものの、奥行きは果てしなく深い。
努力だけではどうにもならないところも多い。
有機合成なら、一日10時間フラスコを振った20年選手なら、自分の腕だけで飯が食えるんだけどね。
製薬会社にはそんな人がいる。
化学は間口が狭い。
武田三共に就職するにはそれなりの手続きが要る。
そーいえば、この間の話で「有機合成は Grignard *1が使えればそれなりのレベルだ」という話を聞いた。
Grignard を立ち上げられるということは、音楽の世界でいうところの「課題曲をとりあえずミスタッチ無く弾く」ことなのだろう。
そっそうか?そういうものなのか?
Grignard は誰でもできそうなものなんだけどな*2。
化学と芸術、噛み合わないようだけど実は意外と似てたりする。
道を究めるのは、どの分野でも容易ではない。
ひよこが成鳥になるまでに、かなりの割合が振り落とされてしまう。
志は高く、現実には柔軟対応で行きましょ。
力量に応じたやり方がきっとあるはず。
■
id:goito-mineral さんのブログで紹介されていた HP。
http://giantcrystals.strahlen.org/indexneu.htm
うわ、でか!なにそれ!?
以前、結晶成長学会誌ででかい結晶のリストアップの記事があり、ブラジルと旧ソ連に集中していた記憶があるが、これだとロシアのものが少ない。
やっぱりナイカ鉱山の selenite (gypsum, CaSO4-2H2O)は圧巻。
http://giantcrystals.strahlen.org/america/naica2.htm
こいつわまじすげえ。
こういうガマを開けてみたいな。あっつくないのにしてくれ。
夢だよねえ。
個人的には、イカフィヨルドのイカ石に魅かれる。
http://giantcrystals.strahlen.org/america/ikafjord.htm
こういう低温生成の含水鉱物は研究ターゲットには面白そう。
Polycrystalline だけど。
And so castles made of sand melts into the sea eventually.
生活語と化学
何度かこっそり話題に乗せた S センセの口癖が「よぅいじゃねえ」であると誰かが言い出し、あれは標準語ではないという議論になる。
オレは標準語だと思っていた。
「容易じゃあない」ということで。
彼は、結構気軽に「よぅいじゃない」と言う。
ちょっとめんどくさいだけでもそう。
これは地域特性らしい。
程度の大きさを表す場合は、形容詞の「なから(半ら)」を付ける。もうちょっと強調したい場合は「なっから」。
「トリプルボンド作んのは、なっからよぅいじゃねぇ*1」だったら、意味が強くなる。標準語じゃないけどね。
「フラスコ、おっかくんじゃねぇ*2」
「よぅーくミクスチャをかんましとけ*3」
という指示をされても問題なし。オレには通じる。
通じればよい。
ただし、ちょっと前に少し書いたが、このあたりでは「すてる」ことを「なげる」といい、甲州弁では「かたづける」というらしい。ちなみに某センセの地元では「ぶちゃる」と言う。
こういったの意味の違いを把握しておかないと、山梨県民にサンプルをポリタンクに捨てられてしまうかもしれない。
友人(名古屋人)のノートには「この反応はこすい」と書いてあった。こすいって何?
三河出身*4の友人の「ええころかげんで、ワークアップ」も説明されるまでわからなかった。
反応の微妙なニュアンスをお国言葉で表現するのは気をつけよう。
それにしても関西人は強い。討論会や年会で平気で関西弁でしゃべる人がいるのにはびっくり。かなり標準語に近くなるように努力してるんだろうけど。
今日のテーマ
- アーティスト: トム・ウェイツ
- 出版社/メーカー: イーストウエスト・ジャパン
- 発売日: 1998/05/25
- メディア: CD
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
トム・ウェイツは、ダミダミの声も悪くないんだけど、初期のころが好き。
一番好きなのはこれ。
日本だと、国道55号は徳島市から海沿いに高知に出る道かな。
大昔、兄弟の結婚式でギターを弾いた。
曲は、「乾杯」(長渕剛)。定番。
すでにわれわれ(三人兄弟の残り二人)はへべれけだったので、式の後にどのキーで弾いたかまったく覚えていなかった(笑)。
楽譜を見ながら、後ろでエレクトーンを弾いてくれたバイトのお姉さんのキーにあわせてその場で調をあわせたのは覚えている。
式の後にお姉さんが「ぜひ、うちのお店でギターを弾いて欲しい」と名刺を持ってきた。
お姉さんはバーの歌姫だったのだ。
あのお姉さんは女版トム・ウェイツだった。
今でもそう信じている。
オレはサイエンスの方が楽しかったし、夜の街に出る気力も実力もなかったので、丁重にお断りした。
話を受けていたらまた違った人生を歩んでいたのかもしれない。