訳あって、久しぶりに神谷美恵子「こころの旅」(みすず書房)を読む。


こころの旅 (神谷美恵子コレクション)

こころの旅 (神谷美恵子コレクション)

↑いつの間にか新装版になってる!


高校時代からの愛読書で、何度となく読み直してきた本*1
何か心にひっかかることがあると、該当部を再読するようにしている。
三年ぶりぐらいにこの本を引っ張り出した。


やっぱりこの本の文は重みがある。
なんて深い洞察力だろう。
自分にとってはこの本はその質量と同じだけの金と同じ価値がある
あるいはそれ以上か。
やわらかく、言葉が過不足なく適切に使われ、奇をてらった表現もめったに使わない単語も存在しない。
こういう文は理想だ。


みすず書房」という出版社を意識した理由もこの本にある*2
高校時代は心理学の本を片っ端から読み漁ったが、ほとんどのものは実家に戻してしまった。
この本はオレが死ぬまで、ずっと自分の本棚に刺さっているだろうと思う。


なぜか新装版は、米沢センセが解説を書いているらしい。
ちょっと読んでみたいかも。
ちなみにこの日記でも彼女のエピソードを匿名でちょこっと出していたりする。
名前を出すと怒られそうなのでやめておこう。

*1:一時期、「マルクスもしくはフロイトのいずれかにかぶれなければ人にあらず」というあほなカテゴライズが流行った時期があったらしい。オレはその分類で言うとフロイトだった。もっとも、彼に言わせるとすべての人が色キチガイになってしまうのだが。今考えてみれば、寺田寅彦にもっとハマってもよかったんじゃないかと。

*2:確かオリジナルは日本評論社だったはず。