EXPACK500 続き

昨日、エスクパック500について、「30kg以上詰められるよ」って話を書きました。
で、エクスパックをしみじみ見ていたら、端に「ご利用条件」が書いてありました。
これです。


あれ?こっちには重量制限が書いてないですよ?
どうも、この中に30kg以上詰められないと郵政公社も考えたらしく、利用条件から重量制限を外しちゃったみたいですね。
以前は書いてあった記憶があるのですが・・・
郵政公社のHPには制限重量がありますが、現品に書いてないのならゴリ押しできるかも。


ということは、このシヴァの小包、34kgでも500円で送ることが可能なのでしょうか?!
一筋の光明が見えてきました。


郵政公社の国内郵便約款における小包郵便の重量は以下とされています。
http://www.post.japanpost.jp/service/yakkan/1-1.pdf

30キログラム以下(郵便物の取扱上支障がないものとして、公社が別に定める種類又は性質の内容品をその取扱上支障がないように公社が別に定めるところにより包装等したものであって、公社が別に定める取扱いに関する条件を満たすものは、この限りでありません。)

かっこ内がエクスパックのことを指しているのかどうかはこの文からはわかりません。


昨日のエクスパックの箱はすでに使用したものでしたので、新品を買うべく郵便局に行ってきました。
窓口の若くてかわいい女性職員さんに「エクスパック、ちょうだい」と言って、二枚出してもらいました。
2枚でも千円です。
で、彼女に「何キロぐらい入れていいの?」と聞いたら、やっぱり、「小包なので、規定で30キロまでです」というコメントでした。
約款を曲げるのは難しそうです。
しかし彼女は
「30kgもこの箱に入るはずないので、何入れてもいいですよ」
と可愛い顔で微笑みながら言ってくれました。
優しい人です。


私が彼女にこのエクスパックを渡すとき、彼女は憎悪と絶望と困憊の表情でその悪魔の小包を睨み、親の敵でも見るような目で私を心底呪うことでしょう。
鉛レンガ入りエクスパックが動き出したら、誰の得にもならないのです。
シヴァの血を継いだその白い物体は、触れた者すべてを恐怖と疲労どん底に陥れ、憎み疎まれながらこの地上のものを破壊しながら這いずり回るのです。一回500円で♪


できたら、新聞記事にあった「名古屋市中村区の元教師」さんにこのエクスパックをプレゼントしたいですね。あるいは公正取引委員会かな。


さて、私は実験屋なので体を動かさないと気がすまないのですが、やはりここはクールに一歩下がって、実験する前に極限を考えたほうがよいでしょう。
公称A4判なのですが、折り目の入っている長さは縦23センチ、横32センチ、高さ2センチです。
これにとらわれるのはズブの素人。真のエクスパックヘビーユーザーではありません。
名古屋の先生もこれにとらわれ過ぎて、エクスパックの最高のポテンシャルを引き出せず、間違った結論を導き出してしまったのです。
私もその形状にだまされてしまいました。
エクスパックは羊の皮を被った狼。
エクスパック道はそんなに甘いものではないのです。


エクスパック500の内寸長さは34.4cm、ガイドラインが完全に隠れる内寸有効幅は25.4cmあります。
では、この封筒が最大の体積を取ったとき、エクスパックはどのような形をしているのでしょうか?
同じ体積で最小の表面積を求めるのと類似してます。
形の制約がなければ球になります。


エクスパックが最大体積を取る場合、おそらくそれはパンパンに張った方形ビニール袋のような形を取るはずです。
ガス採取のテドラーバッグや、買ってすぐの羽毛枕のような形状です。

テドラーバッグはフィルムの伸びがあるのでしわが入ってしまいます。
この形状に内接するのは、両端が半球状になった楕円柱に近い立体です、
これの四隅に角が付いているのがエクスパックの最高ポテンシャル。
エクスパックに厚手のセーターをむりやり押し込んだ形状、あれが最大体積なのです*1
その形で金属塊を作り、それをエクスパックに入れることができれば、エクスパック史上最重のものが世の中に送り出せるはずです。
中に入れる金属は密度が最も高いオスミウムがベストですが、白金族元素は貴金属であり、エクスパックに入れることはできません。値段も個人の手の出せるレベルではありません。金銀もその点でダメです。
水銀は毒物であり、これも送れません。水銀を詰めたら確実に封が裂けます*2
タングステンも密度が大きいですが、融点が高すぎて粉末冶金しかできず、塊はびっくりするほど高額です。
ウランは「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」および「核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関する技術上の基準に係る細目等を定める告示」に引っかかるのでダメです。
やはり鉛ですね。


という考察を経て、鉛レンガをエクスパックに詰める場合、平らに三本並べるより表面積が最小になるように積み重ねたほうがはるかに封筒に詰めやすいんじゃないか、という結論に達しました。
一番大きな面を張り合わせて積むと・・・


見事に三本入ります。ゆとりもあります。
ボール紙も破けませんし、封もきちんとできます。

もうちょっと詰め込めそうですが、ここは武士の情け。
郵便局員を最後の最後まで追い詰めるのは私の哲学にあいません。


というわけで白い悪魔、世界で最も邪悪なエクスパック500は出来上がりました。

その重量は33.9kgあります。
こいつは餌食を求めてその禍々しい白い体を血の赤に染め、邪悪な角を振り上げて、触れる人すべてを絶望に似た恐怖に叩き込んでしまうでしょう。


いや、マジで重いんですって。腰痛いです。


(明日に続きます)

*1:最適な関数でモデリングして積分すればその体積が出せますが、封筒の四隅の角の部分の扱いがめんどくさそうなので、やめておきます

*2:200ml 以上のガラス瓶に水銀を詰めて持ち上げると、瓶の底が抜けます。やったことあります。