UMN さらに試行

以下のテストピースは 500 line/cm の回折格子です。
これが縞々だということは大部分のマクロレンズでわかるのですが、線の太さが今まで見えなかったのです。
これを UMN28/1.8 で f = 2、e線で撮影。下の画像は画像中心のピクセルクロップです。
撮影範囲横幅は 1mm もありません。
500line/cm grating
この縞の間隔は 50 line/mm ですから、0.02mm。20μmです。
一つの縞の繰り返しが実測 25px 対応。これでピクセルまで完全解像していたら 2500 line/mm ということになります。さすがにそれは無理なんですけど(観測波長より短い)。
グレーチングの傷や欠陥を見ている限り、400 line/mm 近くまで出しているっぽいです。
やっとメーカー保証(いつの話だ)性能が出せてきた感じがします。
これ以上の解像力を現在の機材で求めるのはかなり困難です。
フィルター(e線バンドパスとローパス)で球面収差が出ているのでしょうか。
あるいは、まだ振動を拾っているか。


なお、この条件で写真を撮ると被写界深度は身の毛がよだつほど浅いです。
「カミソリピント」って表現がありますが、剃刀の刃なんて厚ぼったいものと一緒にしないでください。
しょうがないので f = 4 まで絞ります。被写体はアシナガ♂です。
wasp
10倍の拡大率で、D3 の幅 4200px は分離しきれません。1000px までなら楽に解像します。
これが UMN の実力です。よくわかんないけどそういうものなのです。


このレンズは、緑色 e線(546.07 nm) の光源の下で、最高の解像力を叩きだすために1960年代に設計された工業用のレンズです。
それから、半世紀近くの時を経て、何人ものマクロレンズ愛好家の手を渡り、私のところにやってきました。
緑色光の下で、鋭い冴えを見せるのは久しぶりでしょう。
彼もきっと嬉しがっていることだと思います。
設計の想定外の使用法で実力を判断されるのは、彼にとっても不本意なことです。
立体物には対応してないんですけどね。
しかしこいつを使いこなすのは難しいです。
絞れば解像力はあっという間に落ちてしまいますし。


次は g線 (405nm) 対応レンズ(S-Planar)なんですが、こいつはしばらく寝かせておきます。
開放では被写界深度がマイクロメートル単位だというのがわかっているからです。
薄片写真にトライするときに引っ張り出してきます。