EXPACK500 その後
「白い悪魔」こと34kgエクスパックを車に積んで、郵便局に行きました。
それにしてもこいつは重いです。
人間は誰でも物を持ち上げるとき、その素性と大きさと形状に見合ったレスポンスを想像します。
こいつはまったく外見からの想像と違った重さなのです。
本を30kg詰めたダンボールを持っても、こんなびっくり感は味わえません。
「なんじゃぁこりゃぁ!?」って感じです。
外部条件に応じた体感温度というものがありますが、体感重量というものがもしあるとすると、こいつはその重量をはるかに超えた値を叩き出すでしょう。
綿5kgと、鉛5kgなら、綿5kgのほうが軽く感じるでしょうね*1。
今日の局員も昨日のお姉さんでした。
私「エクスパックなんですけど、とりあえず重さ、計ってみてください」
と窓口に出したのですが・・・
お姉さん「おっ、重ッ(しばらく無言で格闘)」
お姉さん、持ち上げられないんです。どうやっても。
お姉さんは笑顔を装おうとしてはいるのですが、顔が引きつっていました。
なぜこのような邪悪な物体が、自分の担当している時間に窓口に来たのか、不運を呪いながら。
お姉さんの腰痛の原因になるのは私の本意ではないので、私が秤にそっと載せました*2。
が、水色の秤の液晶パネルには、重量表示が出てきません。振り切れているみたいです。
郵便局のデジタルの秤は30kgフルレンジで、それ以上の重量は残念ながら表示されないようです。
窓口の内側の液晶パネルをお姉さんがチェックして、やはり『「重量オーバーです」と出てますよ』と言われました。
するとすかさず、お姉さんは局長さんに聞きました。
お姉さん「きょくちょー。エクスパックって、30キロまでですよねぇ?」
局長「うーん。小包だからそうなのかな。そんなに入るかいあの包みに?」
お姉さん「はい。オーバーしてます」
で、局長が後ろの席から出てきました。ボスキャラ登場です。
が、ボスはとても気さくそうな人です。
で、局長としばらく雑談をしていました。
ここは田舎の郵便局。しかも雨降り。お客は私以外誰もいやしません。
局長とちょっとの間談笑して、公正取引委員の不当で高慢な注意や、鉛のレンガの話やら、エクスパックに大量の荷物を詰める秘訣などの話をしました。
局長は、そんなヘンなことを考える人にはいままで遭ったことがない、という感じで、何度も大声をあげて笑ってました。
私、そんなにヘンですかね?
で、巨頭会談の結果、局長のお言葉が、
局長「エクスパックは普通の小包じゃないから、重さを計らないんだよ。そういう話だったら計らなかったことにして送るよ」
とのこと。
いい人じゃん局長。
この世に存在するべきではなかった、最も邪悪な定型小包が、あたたかく受け入れてもらえたのは初めてです(お姉さんは受け入れていないのですがね)。
というわけで、送れるようです。
この郵便局からだけかもしれませんが。
私は、理解のない郵便局員に冷たく配送を断られ、ヤツと一緒に雨の中をとぼとぼ淋しく帰る結果を想像していました。
約款よりも人の情のほうが濃い。そういうことです。
しかし、何とかしてこのエクスパックの重量を計りたいのです。
ヤツがこの世に生まれてきた証をどうしても残してやりたいのです。
・・・どこかに40kgまで計れるいい秤がないかな。
というわけで、「白い悪魔」はまた私が回収して帰ってきました。
何日か一緒に暮らしてたら、なんか愛着が沸いてきました。
あの小柄な体に似合わない、パンチの効いた重量感も、それはそれで嬉しいものです*3。