アズレン
大好きな化合物です。アズレン。
C10H8 の炭化水素で、ナフタレンのボタンの掛け違いみたいな異性体ですが、昇華により真っ青なペラペラ板状結晶になります。ナフタレン同様、室温でもゆっくり昇華します。
個人的には、比較的低分子量の炭化水素のうち、もっとも(外見的に)美しい化合物だと思ってます。
やっぱ、この色はええわー。
しかしこの色、出すのが妙に難しい。紫がかった青。
ちなみに、こうやって合成します。OS の古いのはスケールがでかくてかなわん。4 L 釜ですか。
http://www.orgsyn.org/orgsyn/prep.asp?prep=cv7p0015
アズレンの結晶構造は非常にルーズで、完全に disorder した系です。
特に昇華だとそれが顕著になるようで、分子内に対称心がある P21/a, Z = 2 に詰まります。
頭としっぽを取り違えた disorder ですね。Pc (Pa) で解くことができるんですが、かといって disorder が解消されるわけではないので、やっぱりこれは P21/a で解くのが本質的。
これについては大昔から議論されています。
どうも、板状の結晶になるけど、エッジがひどくルーズなのは、このへんにも原因があるみたいですね。
ただ、前にもアズレン誘導体を作ってたことがあるんですが、これは結晶中での disorder がなかったにもかかわらず、板状結晶のエッジはそんなにシュッとしてなかったんですよね。
(↑もう7年前の写真で、見せるのが恥ずかしいんですが。)