テルモ針
テルモのインシュリン静注用の針がグッドデザイン賞を取ったとニュースがあった。
http://www.g-mark.org/library/2005/grand-kouho/05A10039.html
友人が同社に勤務していて、以前、シリンジの針先の構造を飲みながら教えてもらったことがある。
ディスポーザブルのシリンジ針先は、注射時に痛みを与えないようにかなり精密に加工されている。
小さくて誰も気づかないが。
テルモのものは、針先をカットで切り落とし、さらに先端近くのみを磨いて曲面に窪ませ、その上、針先を二方向からリカットして鋭利にしてある。
このときのカットの角度や、各研磨面が滑らかに連続するようになっているなど、多くの工夫の末、現在の痛みが少ない針ができている。
以前はシリコーンオイル塗布ができたらしいのだが、数年前、シリコーンが必ずしも人畜無害とは限らないというデータが出てしまった*1ので、塗布は中止になった。
シリコーンは潤滑剤として働くので、注射時の痛みを軽減できるのだが、それが使えなくなるのでは、また痛くなってしまう。
で、リカットの検討を積み重ね、現在の設計になったらしい。
「針の先でつついたような」サイズの工夫なのだが、いろいろな人のアイデアと開発に基づいている。
今回の製品も、実際にラインに乗るには相当の試行錯誤があったのだろう*2。
友人が勤めているという理由だけではないが、この受賞はとても嬉しい。
こういう地味だが重要な技術は、多くの人が恩恵にあずかっているにもかかわらず、まったく認知されていないということがよくある。
縁の下の力持ちとはこのこと。
こういう技術者がいることを、とても頼もしく思う。
おめでとうございます。