最も安く高倍率マクロ写真を撮る方法

しばしば、「等倍以上のマクロ写真を撮るには、どういう機材を揃えればいいの?」って聞かれることがあり、いつも説明に困っていたので、いろいろ探して、試してみました。
海野氏は「安い広角ズームレンズの前玉を外すといいぞ」という話だったのですが、それはなかなかやりづらいものがあります。
金属環で嵌めてあればまだやりやすいですが、一般人はカニ目なんか持っていませんし、レンズをオシャカにしないとだめですしね。
まさか女の子に「ベローズとルミナーと RMS マウントアダプターを買え」なんて言えませんしね。
広角レンズのリバースアダプターはフォーカスできません。人間 AF にならないと。当然固定倍率です。


一番良かったのは、望遠ズームレンズの先端に、標準レンズを逆にくっつける方法でした。
私は、普段使いしている Nikkor-H 50mm F2 を逆にして、この間購入したシグマの望遠ズームレンズ 100-300mm にガムテープで付けました。
camera


レンズ代は二つで 3000円です(いずれもジャンクレンズでした)。
しかも、ガムテープをはがせば普通の用途で使用できます。
ガムテープがいやなら、アダプターリング(ケンコーのステップダウンリングとか)を使うといいでしょう。
この組み合わせでは、約 1.9倍(APS-C サイズ受光素子で撮影範囲が 1.3cm 幅)から 6.3 倍(同 3.7mm)までいけます。
写真は一万円札のハンコのところです。
100mm側
manken1


300mm側
manken2
↑周辺像がボケてるのは、札が曲がってたからです。


ちゃんと、300mm 側ではホログラムのモザイクまで分離できるんです。ちょいコントラスト低くてにじみが出ますけど。
holo1
ホログラムの色は倍率色収差と勘違いされやすいのですが、倍率色収差はわりと良いです。像の歪曲がわずかに出ます。


これで、画像の左右のホログラムが分離できてるってことは、像の平坦度はけっこう高いということになります。
平面物を撮る人はあまりいないでしょうから、像の平坦度はあまり問題にならないかと思います。
300mm 側のコントラストが若干低いです。これはフードもしくはレタッチソフトで改善してください。
絞る場合は、望遠レンズ側で。でないとケラれます。
周辺減光が少しあります。


これなら、お金をかけずに高倍率マクロが楽しめると思います。
リバースの標準レンズで光線を平行光にして、それを望遠レンズで結像する仕組みです。顕微鏡なら無限補正系というタイプです(笑)。
なお、AF はもちろん効きません。この倍率で AF でフォーカスを合わせるのは無理。測光はできます。


しかし、ガムテープが剥がれてリバースレンズが落っこちたとか、望遠レンズの前玉に傷が付いたとかの苦情はご容赦願います。ちなみにこの組み合わせではレンズが傷つくことはまずありません。
あくまでも自己責任でお願いします。